国や文化を問わず、誰もが人生の様々な時点で人を愛するという経験をします。
とはいえ、スウェーデンで生活し、日本ではあまり一般的ではない恋愛観や結婚観を目の当たりにする中で、恋愛や愛情の定義や表現方法は、国や文化によって異なるものだと実感しています。
そこで今回の記事では、スウェーデンと日本の恋愛、結婚事情の違いについてお伝えします。
日本のカップルと同様に、高校や大学時代など、人生の早い段階で生涯のパートナーに出会い、長年交際しているカップルもいれば、趣味の活動、共通の友人、インターネットを通じて等、出会いのきっかけは様々です。
スウェーデンの恋愛事情で特徴的なのは、インターネット上での出会いに関する偏見が本当に少ないという事です。真剣な交際を求める利用者向けからカジュアルな関係を求める人向け等、色々なサイトがあります。
北米や他のヨーロッパ諸国と同様に、「付き合って下さい」と告白をした上で交際を始めるという習慣は、スウェーデンでもあまり一般的ではありません。
ただし、一人で悶々と、「自分は相手にとって何なんだろう」と考えるのではなく、正直に話し合う事でお互いの気持ちを確かめ合ってはいます。
他のヨーロッパ人カップル同様、スウェーデン人のカップル間でも、男女両方が言葉や態度でパートナーへの愛情を伝え合うという事は重要視されています。
愛情表現が大切と言っても、公共の場でキスをする、体に触れあう等は、子供じみていて周囲に不快感を与える行動として認識されています。
他のヨーロッパ諸国同様、スウェーデンでも、結婚を前提とする事なく同棲をし、そのまま出産をするという関係は一般的です。
このヨーロッパ特有の結婚に拘らない関係について、日本では、「結婚制度そのものに疑問を持っているからでは」「愛情や情熱だけで繋がっていたいから」「結婚するほど真剣な関係ではないのでは」等、色々な解釈があるようです。
実際に一部のヨーロッパ諸国では、離婚の際に別居期間が義務づけられている、無職の配偶者を離婚後も扶養する責任が生じる等、離婚の際の不利益や手間を考えて結婚しない事を選択するカップルもいるようです。
スウェーデンでも、そういった理由であえて結婚をしないカップルは勿論います。しかし、実際のところ、結婚していないという理由で生じる不都合や不利益が無いに等しいため、現状のままで幸せだと感じているカップルが多いのです。
また、スウェーデンでの離婚は非常に簡単です。片方の同意が得られない場合でも、半年経てば、自動的に離婚できます。
子供がいる場合には、婚姻関係の有無を問わず、両者間で離婚後の共同養育に関して書面上で取り決める義務があります。
スウェーデン人の多くは、恋愛や男女交際を悪い事、恥ずかしい事として捉えていないので、家族や友人に隠れて付き合うというカップルは非常に稀です。そのため、交際開始後、かなり早い段階でパートナーを自分の家族に紹介します。
また、両親側は、娘や息子のパートナーを批評したり、交際に関して賛成や反対といった立場を取る事はありません。
あくまでも、お互いに気に入られる努力をするのではなく、ありのままで、誕生日や年間行事等の家族の時間を共に楽しく過ごしましょうというスタンスです。
男女共に自立心の強いスウェーデン人が理想とするカップル像は、相手に守ってもらおう、尽くしてもらおうという依存関係ではなく、両者が経済的、精神的、社会的に自立した対等な関係です。
お互いが自立しているからこそ、相手への責任感や依存心のために別離を思い止まるカップルは少ないのです。
また、女性が日本で言う結婚や出産の適齢期である場合でも、「長年交際しているのなら、いずれプロポーズするのが男性の責任」という考えを持っている人は殆どいません。
このように、多くのスウェーデン人男性は、愛情=相手の人生に対する全責任を引き受ける事とは考えていません。しかし、それとは別の形で、パートナーや家族を自分の人生において大切なものとして位置付けているのです。
社会参加をし、家計へ貢献する責任が男女平等であるのと同様に、家事や育児等の家庭生活への責任も男女両方にあるという考えが、スウェーデンでは浸透しています。
スウェーデン人男性の家事育児への意識と貢献度は、ヨーロッパの中でも特に高いと言えるでしょう。彼らは家庭生活への参加を、「忙しい中、疲れている中、彼女や妻の手伝いをしている」とは捉えず、「家族の一員である自分の役割」として認識しているのです。